先日開催されました、2024年度基金報告会の内容を掲載します。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました。
前半は「児童養護施設の子どもたちのくらし~皆さまに知っておいて欲しいこと」をテーマに
児童養護施設子山ホーム施設長の吉田正浩さんのお話を聞きました。
「施設の子ども達は特別ではない、ふつうの家庭と変わらない生活をしています」と話す吉田さん。子山ホームに入所す
る子ども達には視覚で理解できるようにと紙芝居でホームを紹介、みんなで待っているよと伝え、迎え入れているそうです。
入所する子ども達の気持ちを少しでも理解できるようにとワークも行われました。付せんに自分の大切な人、大切な場所、
大切なものを書き、それを「くちゃくちゃにして捨てる」というもの。「児童相談所に一時保護される子どもたちは大切な場所、
人、ものから急に離れなくてはならない。彼らにとって施設での生活はゼロからではなくマイナスからのスタートなのです」
との言葉に会場はしんと静まりました。
在園生・卒園生の声として「社会的養護が認知されてほしい。なにか悪いことをしたから実親と暮していないとの差別的な
目で見られる。施設入所を話すと今までの関係が壊れるのではないかとの不安がある」などの紹介がありました。
埼玉県・社会的養護を考える会の作文集「わがままは言わない」も朗読され、子ども達の心情に触れることができました。
「正しい知識をもって社会的養護の子ども達を理解してください。発達的な課題を
抱える子、知的にボーダーな子が施設にいますがそれは彼らのせいではなく複雑
な背景があるのです。施設の見学やボランティアをとおして肌で子どもたちや施設
の雰囲気を感じてほしいし、卒園した子ども達には寄り添い、サポートしてほしい。
家族の後ろ盾がないため一度のつまずきで人生が狂うことがよくあることを分かっ
てほしい。すべての子どもを社会全体で育むという意識をもってほしいです」と
の言葉で締めくくられました。
後半は、大戸優子さん(いちはら福祉ネット所長) にコーディネーターをお願いし、
助成を受けた若者3 人から今の生活ぶり、これからの希望を聞きました。
4 月から児童養護施設勤務を始めたS さん(20 才)。
これまで自身が児童相談所の職員の支援を受けてきたことから、
今度は自分が子どもたちの力になりたいとこの職に就いたのだそうです。
子ども達との何気ない会話や笑い合うことが楽しいとのことです。
Y さん(19 才) は大学1 年生。柔軟な思考や多言語を学びたいと入った大学に進学し、
興味関心が似た人にたくさん出会えてよかった、とのこと。
M さん(18 才) は調理師専門学校2 年生。
料理をしたり人を喜ばせることが好きで調理師は天職と思い志望し
たとのこと。今後厨房でのアルバイトも始めるそうです。
そして、3人から後輩にむけて「自分のペース、やりかたでがんばってほしい」、
「おうえんだんをはじめとして社会的養護下の子どもの進学を支援する団体はたくさんある、
やりたいことを誰にも言わず自分のなかで潰してしまわないで、挑戦してほしい」とエールを送りました。