2018年5月26日㈯、千葉市美術館講堂にて、「こども・若者未来基金2017報告会」を開催しました。
参加者は、登壇者含む70名。
まず報告会開催にあたり、冒頭に、こども・若者未来基金運営委員長・千葉大学名誉教授宮本みち子から主催者挨拶を行いました。社会構造が変化するなか、生きづらさが増している社会的養護下の子どもたちの支援の必要性について話がありました。その中で、基金の主旨説明とともに支援の拡大をよびかけました。
続いて、基金の2017年度報告、基調講演、助成した子どもたちからの報告、この3つを行いました。
基調講演のテーマは、「社会的養護の子どもたちの自立に向けて」
講師は、元厚労省障害保健福祉部長で、ご自身が里親であり、NPO法人東京養育家庭の会理事の藤井康弘氏。
行政官として制度作りにかかわられた点、また実際に里親として得た経験、この2つの視点からのお話でした。
まずは社会的養護の現状と課題について、詳細な資料をもとに説明いただきました。
年々、児童虐待が急増しているなか、虐待防止対策強化とともに社会的養護の量や質の大幅な拡充が求められているとのこと。昨年発表された「新しい社会的養育ビジョン」では、社会的養護の子どもはより家庭的な環境で育てるべきだが、施設入所が9割との課題があり、里親の数値目標を掲げたとのお話。現在、家庭養護の推進は少しずつ進んでいると説明していただきました。
家庭養護、つまり里親の意義は大きいとのお話もありました。特定の大人と信頼し合い、安心して生活するなかで自信が持て、周りの人と豊かなコミュニケーションがとれると。さまざまな問題行動の根本にはコミュニケーション不足があるのではと藤井さんは問います。
日本の社会的養護の分野は遅れているとのこと。子どもたちの多様なニーズに対し地域ごとのきめ細やかな支援が急務であると訴えられ、当基金に期待を寄せられていました。
ご自身の里親としての経験から、子どもたちの自立には経済的な支援や夢や希望の他に、ある程度の生活習慣、コミュニケーションの経験、そして伴走者が必要と訴えられました。
里親は里子とつながりが続けられる。しんどい面はあるが、子どもたちの頑張っている姿を見ると感動し、何回も泣いたとのこと。里子から連絡がくるとうれしいとおっしゃっていました。「子どもたちへのサポートはライフワーク」と言い切る藤井さん。温かいお話は私のなかの「里親は大変」とのイメージを覆すものでした。
その後は、子どもたち3人によるトーク。当基金への申請の動機やどのように使いたいのか、将来の目標などが聞けました。進学資金のため、運転免許証取得のためなど具体的な目標をもって申請したとのこと。助成によって今の環境があることを理解し、頑張っているようで参加者一同とともに主催者にとっても意義を実感できた報告会でした。 (事務局・小島)